第18章 ラサ

この間ずっと、イオールは偉大な首長に対して影響力を得ていたため、ほとんど常に彼のそばにいました。 彼が彼女に恋していることは隠しようもありませんでした。 私もそのことを知っていましたが、嫉妬の炎を鎮めるために、成り行きに任せることにしました。私は彼女をこの世で何よりも愛していましたが、運命が私に相応しいものを与えてくれると信じており、彼女の忘れられない警告、「自己を忘れるな」という言葉を常に精神に刻んでいました。
5年間の戦争の間、私はあちこちにいた。通信スパイでしたが、軍の指揮官になりました。将軍にまで昇進し、軍から最高の尊敬を集めていた。
再び平和が宣言されると、私は再びパリに戻りました。20世紀のパリ、ヨーロッパ合衆国の首都パリ、400万人の人口と大通りや宮殿のあるパリです。芸術と哲学の2つの学校がシャンゼリゼ通りに面して建ち、大理石の柱廊には世界中から学生が集まっていました。講義は無料で、東洋の隠遁生活を送っていた長老たちが哲学について語り、ゼロール派の神秘主義芸術家たちが芸術について講義を行いました。市議会は、市内のすべての建物のファサードは石または大理石でなければならないと定めました。また、思想の自由化に伴い芸術への関心が高まり、20世紀のルネッサンスは、この街を美と壮麗さの夢の街へと変貌させました。
再び私はニコルスキー伯爵の宮殿のような邸宅にいました。純白の大理石でできたその古典的な外観は、今でもこの街で最高ランクに位置づけられる邸宅です。セントジャーメインが東に向かう前に、評議会の会議が行われることになっていました。戦争が終わり、サイクルの終わりを象徴する危機が過ぎ去った今、この謎めいた人物は、再び死ぬことを決意し、本来の地位に戻ることになりました。会議テーブルの周りに集まったのは、冒頭で紹介した7人でしたが、8人目の人物もそこにいました。彼は東洋人風の浅黒い顔で、黒く鋭い目と長い黒髪と髭を持っていました。ターバンを巻いており、セント・ジャーメインのすぐ隣に座り、周囲の人々を避けるかのように、視線を床に落としていました。評議会の傍らには、1ダースほどの他のメンバーが部屋にいました。その中には、私の両親であるイオールとエスメラルダもいました。セント・ジャーメインが話し始めるまで、最も深い静寂が支配していました。
「兄弟たちよ」と彼は言いました。「19世紀のカルマは償われた。収穫は再び刈り取られ、バランスは調整され、不平等は是正された。黄金時代は幕を開けたが、我々の義務はまだ完全に果たされたわけではない。人民が統治する日がようやく到来しました。王や皇帝の時代は終わり、モスクワ市民だけが、まだ果たすべき運命を背負っており、しばらくの間はこうして統治されるでしょう。しかし、兄弟たちよ、人民による統治が成功するのは、人民が知性を持ち、真の指導者がいる場合だけだということを忘れないでください。今こそ、指導者たちが不足することのないよう、また、同胞団のメンバーが世界中の権力の座を占める準備を整えるべき時なのです。
これらの地位は、彼らの功績に対する報酬として、あるいは野望を満たすためにではなく、彼らが最もふさわしいからこそ、彼らのものでなければならないのです。外部からの力によって手に入れるべき地位は一つもなく、この目的のために利用すべきは、彼らの精神と心が本来の領域で働く力だけなのです。世界中に散らばる私たちの会員は、絶え間なく人類のために努力し、あらゆる民族の心と精神を獲得しなければなりません。そうすることで平和的に統治権を獲得できるのです。人類の幸福を念頭に置き、その努力が純粋で万人の利益となるものであれば、目に見えない兄弟や力が彼らを援助してくれるでしょう。私たちは今、大きな危機を乗り越えたばかりであり、私はあなた方を支援し、援助するために派遣されました。しかし、今や争いは終わり、私はあなた方の前から身を引いて、再びいつもの仕事に就くことが私の特権です。あなた方には有能で価値のある指導者がおり、外部からの指示が必要な場合にはいつでも彼らがあなた方を導きます。しかし、一人一人が、すべての指示が内から来るような境地に達するよう努力しましょう。」
「さて、私が去る前に、第三の等級の志願者全員の主張と長所を検討します。評議会以外の者は退室し、呼び出しを待ちなさい」この命令により、評議会とオリエンタルを除く全員が部屋を出ました。イオールと私が一緒にいるのは数か月ぶりでした。彼女が私と腕を組んで廊下を歩いているとき、私は尋ねました。
「イオール、私の清らかな愛、あなたの志望は何ですか?」
「魂が存在する目的、すなわち完全性と悟りを達成することです」と、彼女は甘くも真剣な微笑を浮かべて答えました。
「それなら、私たちの道はまだ一緒ですね」と私は答え、控え室に戻りました。そして、初めて父と母に会うことが許されました。二人とも私を愛情を込めたキスで迎えましたが、言葉はほとんど交わされませんでした。お互いを理解し合っている魂は、言葉に頼る必要がありません。彼らの思いは、沈黙のうちに相手の精神に届くのです。姉妹のイオールとエスメラルダも私たちと一緒にいましたが、彼女たちは評議会に召集された後、彼らは二度と戻ってきませんでした。
1時間で4組が召集されましたが、私たちはエスメラルダとスカンジナビアから来たブロンドの兄弟とともに、まだ待機していました。この機会を利用して、私は14年前に湾に嵐が来たとき、彼女と母がどのようにして逃げたのか尋ねました。彼女は次のように答えました。
アルバレスと他の兄弟がちょうど出発しようとしていた汽船に乗り込み、最初の島に到着したとき、彼らの要請に応じて、私たちは全員が船から降ろされました。その事実を隠すかのように、私たちは港から離れた場所にある船に降ろされ、私たちの存在を知る者は誰もいませんでした。再び旅に出るとき、アルバレスは私たちに秘密を守るよう誓わせ、彼の命令に従って、私たちはあなたと父親と連絡を取ることはありませんでした。あれは試練だったと、今になって分かりました。あなたと私が経験した試練と似たようなものでした。彼らは、彼の長兄たちへの信頼を試すために、彼の最愛の妻と娘を死に追いやったのです。しかし、長兄は疑うことなく、忠実に仕事を続けました。本当に、私たちは高貴な両親から教訓を学ぶことができます。」
「アルフォンソ・コロノと姉妹のイオール」と、呼び出し人が割り込み、私たちが気を失ったとき、私は言いました。
「イオール、生死、不名誉か名声か、すべては人類のためなのです。」
「最も高貴な言葉です、我が真の兄弟。必要であれば、お互いの最後の思いを胸から引き剥がし、すべての人類の幸福のために思いを集中させましょう。」
彼女がそう話すと、私たちは評議会の部屋のドアの前で一瞬立ち止まりました。そして、まるで最後の別れのように握手とキスを交わし、中に入りました。
「兄弟よ、姉妹よ」と、セント・ジャーメインは言いました。私たちがテーブルの向かい側に座ると、彼はこう続けました。
「あなた方は、非常に高い、最も高貴な特権を求めました。地球上のほとんどの人間が持っていない特権です。人類の向上のために苦労と労働を重ねた多くの人生を経て、初めて与えられる特権です。あなた方は『第三の等級』への入会を求めています。もし、これまであなたの義務が困難であったとしても、この等級では、それは理解を超えるものであり、あなたの生活は絶え間ない労働となります。この真実をよく覚えておいてください。
今、時宜を得てあなたに言っておきます。この等級では、喜びの代わりに苦痛が伴いますが、それは喜びをもたらす苦痛です。なぜなら、他者に幸福をもたらす努力の結果として、苦痛のエクスタシーを学ぶからです。これがキリストの苦悩の神秘であり、これが、他者への愛に満ちた仕事を通じてもたらされた苦痛が喜びのソースとなる、慈悲のマスターたちの報酬なのです。」
彼は深みのあるゆっくりとした厳粛な口調で話し、すぐそばに座っている東洋人の方を見ると、セント・ジャーメインはさらにこう続けました。
「兄弟よ、姉妹よ、ご存知のように、我々の偉大な仕事は人類のためにあります。そして、我々は人類の向上を助けるあらゆる分野で活動しています。我々には世界で成すべきことが多くあり、あなた方は目に見える活動分野で豊富な労働力を得ることができます。しかし、もしあなたが『第三の等級』に入れば、世界を去り、まったく異なる方法で活動しなければなりません。さて、あなた方はどちらを選びますか?」
まるで共通の衝動に突き動かされたかのように、私たちは声を合わせて答えました。「私たちを最も効果的な道具とし、人類のために最も多くの善行を成し遂げられる方です。
「それでは、あなた方の前に2つの行動分野が開かれています。兄弟よ、まずあなたの選択を聞かせてください。私たちは、あなたをイタリアの総督にすることが最善だと考えています。その地位であれば、あなたは多くの善行を成し遂げられるでしょう。任期を終えた後は、ヨーロッパ大統領としてナポレオンの後継者にしてみせましょう。この道を選べば、確かに、あなたの善行の機会は広大でしょう。これが第一の道です。第二の道を選べば、あなたは癒しの力を持つ放浪の修道士となり、あちこちを托鉢して歩き、病を癒し、人々に人生の真理を教えます。どちらを選びますか?」
「第一の道を埋める他の人を見つけることができますか?」と私は尋ねました。
「我々の会員は少ないですが、あらゆる要求に応えることができます」と彼は答えました。
「それでは、名声と権力の地位を他の者に譲り渡しましょう。しかし、私は謙虚に人類の欲求を満たし、彼らの苦悩を和らげることに専念します。私は2番目の道を選びます。」
彼は何も言わずにイオールに目を向けて言いました。
「姉妹よ、あなたに多くの善行をなす機会があります。そして、お願いしたいことがあります。このお願いは必ずしもあなたの役割ではありません。もし望むなら、断ることもできます。」
「あなたが求めるどんな願いも、あらかじめ叶えられています」と彼女は答えました。
「あなたが知らないうちに叶えてください。私たちの願いは、あなたが期待している以上に大きなものかもしれません。ナポレオンはあなたを愛しています。偉大な天才は、あなたこそ自分の愛にふさわしいと考えるのです。その結果、あなたは彼に対して大きな力と影響力を持ちます。さて、私たちの手によって偉大になったとはいえ、彼は兄弟ではありませんし、本質的には利己的です。しかし、あなたが彼の妻になるのであれば、あなたの正当かつ利他的な命令は彼の法となるでしょう。彼を通じて、あなたは多くの善行をなし、同時に彼の性質を浄化し高めることができるでしょう。あなたは彼の妻になりますか?」
私は全力を尽くしましたが、胸が張り裂けそうな苦痛が走りました。彼女は心の誘惑をすべて克服し、すべての試練を乗り越え、無意味に人生を過ごすのでしょうか?彼女は大いなる等級から締め出され、男を救うために男と結びつくのでしょうか?ああ、神よ!」私は呟きました。「すべては人のため!」
「もし私が善行を積み、同胞に恩恵をもたらすことができるなら、あなたの要求は受け入れられ、私は彼の妻になります」彼女ははっきりと、そしてしっかりと答えましたが、その声には悲しげな諦めがありました。
「そして、あなたは彼を愛しますか?」
「私はすべての人間を愛しています」と彼女は答えました。「しかし、同族の魂に訪れる愛は、私の力では作り出すことはできません」
「しかし、すべての魂は普遍的な魂の中で同族です」と彼は答えました。
「確かに、しかし振動が彼らを異なったものにしています。もし彼が魂の数を私と同じにしたら、私はそれを望んだからではなく、そうしなければならないから愛するでしょう。そして彼も同様に愛するでしょう。なぜなら、共感する魂は本質的に愛さなければならないからです。」
「姉妹よ、本当にその通りです」と伯爵は答えました。「もしすべての男女が、普遍的な魂、つまり同じ振動に魂を同調させることができれば、すべての魂は純粋な愛をもって愛し合うでしょう。それは彼らがそうしようと思ったからではなく、彼らの本質がそうさせるからです。
この間ずっと、見知らぬ東洋人の鋭い目が私たちに注がれていましたが、今初めて彼が話し、セントジャーメインにこう言いました。
「この姉妹は結婚してはならない。マレオンとも。彼女には別の仕事があります」
彼の声は澄んでおり、しかし半分押し殺したような響きがあり、私の体を震え上がらせました。明らかに、半分押し殺したような響きにもかかわらず、彼の言葉には何か不思議な力がありました。セント・ジャーメインは彼に低頭礼をして答え、イオールに向かってこう言いました。
「マスターの言葉は法です。今後は彼の保護下におかれることになります。」そして、私の方を向いてこう言いました。
「アルフォンソ兄弟、あなたの姉妹イオールは東に向かいます。あなたが忍耐強く、選んだ義務を果たすならば、後に彼女と合流する特権を得ることになります。彼女の労働は今後、目に見えない精神と魂の世界を通じて行われることになります。一見、この世から離れているように見えますが、彼女はあらゆる生き物や人間に影響を与え、感化していくでしょう。
偉大なる階層は彼女を内部のロッジに迎え入れました。そして、あなたが彼女に加わる力を得るまで、彼女はあなたのもとを離れます。しかし、肉体は離れていても、魂は決して離れることはないということを忘れないでください。」
彼はそこで言葉を止め、彼の合図で、イオールは私に魂が通じ合うような長い視線を送り、東洋人とともに部屋を後にしました。
「さて、兄弟よ」とセント・ジャーメインは言いました。「君は今、ここにいるエラルと西の評議会の管轄下にある。明日の朝、デュボア伯爵の城で彼らに会うがよい。さあ、行ってよろしい」
彼に追い払われるようにして私は部屋を出てデュラント邸に向かいました。私が以前住んでいた家を離れてからしばらく経ち、その間にデュラント一家が全員20年会員であること、そしてカミーユが今はマダム・カレであることを知りました。しかし、彼女は今も家にいて、私をとても温かく迎えてくれました。
デュラント氏は私の兄弟であり、見知らぬ人ではありませんでした。彼は自分の選んだ医学の分野について興味深く話してくれました。旧友たちと過ごし、デュラント氏と打ち合わせをした後、翌朝、デュ・ボワ伯爵の城に向かいました。もうイオールには会えないだろうと思っていましたが、馬車が城の入り口に近づくと、彼女がそこに立っているのを見て驚きました。彼女は私の腕を取り、私たちの古い部屋に案内しました。
「愛するクレオ」と彼女は言いました。私たちが再び恋人として抱き合ったとき、彼女は言いました。「偉大なマスターが、あなたにさらに高度な指示を伝えることを許可してくれました。私たちがこれまで所有していた知識や力は、私たちが手に入れることができるものに比べると、実に取るに足らないものです。朝、私は東へ、あなたは西へ向かいます。私たちは地球を共有し、決して離れることはありません。なぜなら、これまではメンタル体での遠隔コミュニケーションでしたが、これからはアストラル体で会うことができるからです。
ついに、肉体を離れ、アストラル体で遠くへ行くことができる秘密を学びました。何年もの間、私はこのように肉体から離れることはできましたが、アストラル体で完全な自己意識を保ちながら精神を運ぶことはできませんでした。しかし、今ではそれができますし、あなたにもできるでしょう。あなたが西洋にいる間、私はあなたと共にいます。そして、あなたが進歩し、仕事を続ける中で、私は精神の世界を通じてあなたを指導します。眠りと呼ばれるその状態では、私たちは毎晩親しい仲間となります。なぜなら、あなたが昼間西にいる間、私はあなたとともにいるでしょうし、あなたが東にいる間、私はあなたとともにいるからです。しかし、まだすべての試練が終わったわけではありません。私たちの人生は試練に満ちています。なぜなら、試練を乗り越え、克服することによってのみ、私たちは自分の強さと力を実感することができるからです。」
「試練や苦難は、私たちに自らの力を十分に自覚させ、まだ発見されていない可能性を解き放ちます。試練に遭うまでは、私たちは自分の力を知りません。これから2年間の試練と苦難が待ち受けています。そして、7年間の試練期間が満了します。この期間、あなたは古代アトランティスの土地であるアメリカで働き、そこで開花する魂に光をもたらさなければなりません。この仕事では、家も財産もない托鉢の行者のように、単独で行動しなければなりません。あちこちを旅しながら、善行を積み、光をもたらさなければなりません。ここで必要とされる力は、肉体の耐久力ではなく、精神と魂の力です。なぜなら、人々は権力と金への欲望に目がくらみ、泥沼にはまり込んでいるからです。彼らは、あなたが金銭のために働かず、利益を求めないことを知ると、あなたの行動を理解できず、あなたを詐欺師として非難するでしょう。そして、あなたが苦しむ人々の苦しみを和らげると、彼らはオカルト医学の力を知らず、あなたを偽医者として嘲笑し、偽善者として罰するでしょう。乞食として浮浪者となり、奴隷制の法律の対象となります。
あなたがどれほど道徳的に、あるいは主観的に善行を積もうとも、思考や教えによって、目に見える支援手段を持たず、行動を正当化することはできません。しかし、忍耐強くあり、真実と義務に対する信念を決して失わないでください。守護者が常にあなたを囲んでいることを忘れないでください。そして、害を恐れる必要はありません。これらの試練や苦しみの中で、あなたは内なる平和を見出し、義務を果たしたという知識から来る喜びと陶酔感を見出すでしょう。世間から正当性を求めず、良心を正当化の根拠としましょう。周囲の人々から賞賛を求めず、内なる賞賛を求めましょう。世間の欺かれた無知な人々の軽蔑や嘲笑を気にせず、彼らの過ちを哀れみ、自分の労働を継続しましょう。真実の教師はみな苦難を経験しなければなりません。
しかし、この苦難は昇華の炎なのです。中傷、虚偽の主張、誹謗、罵倒があなたに浴びせられ、あらゆる卑しい言葉の的となるでしょう。しかし、彼らの苦悩する魂が彼らの行動を非難していることを知り、彼らを哀れみながらも、彼らに耳を貸さないようにしてください。あなたの人生が、すべての人が見習うべき模範となるようにしてください。なぜなら、人生の模範は、すべての人の教えよりも強力だからです。名声と権力があなたに約束された時に、あなたは放棄の道を選びました。あなたは人類のために個人の愛を犠牲にしました。あなたの試練は確かに大きいでしょうが、その先にはさらに大きなものがあります。ブッダのように、あなたは王座と愛する妻を捨て、人類のために働きました。そして、ブッダのように、あなたにも平和と悟りが訪れるでしょう。あなたの時が来たら、私があなたを呼ぶか、私があなたのもとへ行くでしょう。どちらになるかは義務によって決まります。
さあ、別れましょう。西の地で使命を果たしてください。そして、闇に光が見えなくなることや、足取りが道からそれてしまうことがないように。」
こうして彼女の最後の講義は終わり、別れの挨拶をして彼女は部屋を出ていき、私は彼女のアパートに一人残されました。1年以上前から、私は自分の体に変化を感じていました。体は軽やかで、素晴らしいほどの軽さが全身に広がっていました。私は疲れを知らないように思え、不思議なことに、日を追うごとに食事の量は減っていきました。しかし、今度は一人きりになったことで、さらに大きな身体の自由を感じました。身体中がうずくような感覚に包まれ、まるで体重がないかのように感じられ、気づくとまどろみの眠りに落ちていました。
翌朝、私は外出着と藍色の長いケープだけを身にまとい、巡礼の旅を始めました。この服装で街中を歩いても、誰にも気づかれませんでした。
私は、アルフォンソ・コロノが不可解な失踪を遂げ、その行方は何もわからないことを『デ・モンド』誌で知りました。しかし、一時期ナポレオンに影響力を及ぼしていたとされるオカルトの秘密結社に連れ去られたという噂がありました。同じ謎の同胞団が、何年か前に英国のルイーズ王女をさらったとも言われていました。
ルイーズ王女とコロノはともにパリで多くの時間を過ごしており、いわゆるオカルトの達人たちと交流していることが知られていました。王女は、何年も前にロンドンの路上で暴走中に命を救ってくれた人物のおかげで命拾いをしたと言われています。その後、謎の失踪とオカルト結社に関する長い記事が続き、編集者は、原因不明のまま姿を消した著名人の多さを指摘しました。私は汽船に乗り込み、旅を続けながら、ブラザーたちが世界の歴史や著名な人物の謎をどれほど解明できるだろうかと考えていました。
14年後、私は再び大西洋を渡り、ニューヨークに到着しました。ここで私は正体を明かすことなく、しかし、それ以外では明白な立場を根拠に、アメリカ協議会を招集し、「正義と慈悲の同盟」の結成に協力を求めました。私は都市から都市へと移動し、すべてのロッジを訪問しました。医師や弁護士は、私が特に協力を求めた人々でした。この2つの職業は、正しく用いられれば、素晴らしい善行の力を発揮します。自己の欲望や、人々が利益と呼ぶ偽りのために心が萎縮していないこれらの職業の人々は、無報酬で同胞団を組織し、正義、慈悲、苦痛の緩和のために活動しました。不幸な事例は放置せず、不正な事例は見過ごさない。どんな些細なことでも、正義と人道が優先されるべきです。しかし、そのような活動がどうしてお金なしで続けられるでしょうか? 会員たちはどうして無報酬で働くことができるのでしょうか? その答えはこうです。人間は人道に対して盲目ではなく、本質的には善良なのです。
私たちが人のために無私無欲で働いていることが明らかになると、蓄積された商品の洪水の扉が私たちに開かれました。人々は、確かに、同胞に対してほぼすべての信頼を失っており、普遍的な利己主義と不信感が蔓延していました。しかし、私たちは彼らの信頼を回復し、彼らの中で揺らめく光を呼び覚ましたのです。この仕事を成功裏に確立したことを喜ばしく思い、私は再び姿を消し、僧侶の装束を身にまとって巡礼を続けました。町から町へとさまよい、病を癒し、苦痛を和らげました。あちらこちらを旅し、愛と義務、そして人々の団結という偉大な真理を教えました。私は普遍的な宗教を説き、国家、信条、富、人種の壁を取り払う努力を怠りませんでした。しかし、クリシュナ、ゾロアスター、ブッダ、キリストの本質的な真理はすべて同じであると説いたら、人々はどんな反応を示すでしょうか?私は暴力を振るわれると思ったが、そうはならなかった。単純な心を持つ大衆は、当時多くの人が予想していたよりも真実に近かった。
視野の狭い教師たちは、実際、彼らの心の判断を歪めていたが、蒔かれた種は栄養を得て実を結んだ。視野が狭く、惑わされた頑固者だけが、私の言葉と努力を恐れ、戦った。彼らは心に疑いを抱き、乞食を嘲笑し、追い払いました。しかし、これらの試練のすべてを通して、私は圧倒的な存在を感じ、毎晩、肉体の束縛から解放され、東へと旅をしました。私が努力するにつれ、力は強まり、より具現化していきました。時折、私の演説の熱狂的な雰囲気の中で、トランス状態になり、物質のヴェールが引き裂かれることもありました。ある日、ニューオーリンズの通りで私の周りに集まった大勢の人々に向かってこのように話しているとき、私はより高い状態に入り、私のそばに立っている姉のような姿が見えましたが、周りの大勢の人々には見えませんでした。
「兄弟よ」と、彼女はできる限りはっきりと声に出して言いました。「私に話させてください。」私は黙って従いました。次の瞬間、私は傍観者となり、イオールの声が私の体から聞こえてきました。驚きと熱心な関心をもって、群衆は彼女の周りに集まり、彼女の言葉を聞いていました。
突然、声が私に彼と一緒に来るように命じました。同時に、私はセント・ジャーメインが私の隣にいるのを見ました。私は何の疑問も驚きも抱かずに従い、思考の速さで空間を移動しているのを感じました。私の体には重みがなく、セント・ジャーメインの体と霧状の物質の紫色の糸でつながっていました。周囲には物質の世界が広がっていましたが、地球は見えませんでした。突然、すべてが空白となり、意識が戻ったとき、私は自分自身、つまり別の存在になっていることに気づきました。最初はそれが分かりませんでしたが、私は見知らぬ土地にいて、別の身体になっていました。私の男性的な手は消え、代わりに繊細な白い女性の掌が現れ、白い女性のローブを身にまとった私は、かつてないほど素晴らしい気分でした。
驚きから立ち直り、あたりを見回すと、そこは柱廊のある中庭で、どこか不思議な懐かしさを感じましたが、その場所を思い出すことはできませんでした。そして振り返ると、私の隣にセント・ジャーメインが立っていました。同じであり、しかし同じではないフランスのセント・ジャーメイン。彼の顔立ちは同じでしたが、今や神聖な光と美しさで輝いていました。私の驚きに対して彼が優しく微笑んだので、私は安心し、尋ねました。
「ここはどこですか、兄弟?」
「あなたのもう一人のあなたからの要請により、あなたは『第三等級』の経験をいくつか得ました。」
彼がそう言うと、彼は鏡を私の前に掲げました。そして、さらに驚いたことに、私は姉のイオールの顔立ちを目にしました。私の驚きに微笑みかけながら、セント・ジャーメインは言いました。
「極性の変化により、あなたは姉妹の身体を、姉妹はあなたの身体を獲得したのです。魂と個性は同じですが、その別の側面が今、具現化しています。あなたは今、妹が感じていたように感じ、妹は今、あなたが感じていたように感じているのです。この変化は、魂が一つである、つまり、その数と振動が同じであるからこそ、許されたのです。
「そして、イオールはどこにいるのですか?」と私は尋ねました。
「彼女はニューオーリンズにいて、あなたは今ラサにいます。」
「この交換はいつまで続くのですか?」
「お互いが交換を再開することに同意するまでです。」
「そして、私は彼女の純粋で神聖な肉体に転生することに同意したのですか?彼女は私の不純な姿をしているのに?」
「もちろん、そうでしょう。そうでなければ、このようなことは起こりえません。魂は宿る肉体に対してマスターであり、それを追い出す力も、その意思に反して置き換える力もありません。あなたの肉体は、あなたの努力によって清められたのです。そうでなければ、純粋な魂であるイオールがそこに入ることなどできなかったでしょう。」
「このような魂の交換は、常に良いことなのですか?」と私は尋ねました。
「私たちが認めるものはすべて、はい。多くの他は、いいえ」と彼は答えました。
「多くの人々は、受動的になり、意志を放棄したり、官能的な情熱によって形を堕落させることによって、エレメンタル・スピリットや肉体を持たない悪魔が彼らの体に入ることができるようにしています。これらは、この世の狂気と悪魔に取り憑かれた存在を作り出します。マスターたちは、これらの受動的な人々を時々、それほど頻繁ではありませんが、使用することがあります。ただし、その形が純粋であり、それを使用することで善を成し遂げることができる場合に限ります」
「そして、これらの奇妙な記憶と、今私の精神に光を投げかける素晴らしい知識はどこから来たのでしょうか?」私は尋ねました。絶え間ない思考の列が脳裏に浮かびました。
「『第三の等級』のメンバーとして、広大で果てしない時の海を遡り、過去の存在を思い出すことは可能です。 不滅の魂の奥底に刻まれたこれらの記憶は、訓練を受けていない精神には封印され、秘匿されています。なぜなら、一つの短い人生に限定された記憶では、過ぎ去った光景に無益に思いを馳せることにどれほど多くの貴重な時間が費やされることでしょう。魂に気づき、精神をその深みに沈めることのできる人だけが、この終わりのない記録を読むことができます。精神を制御し、魂に同調させることのできる私たちにとって、これらの記憶や、過去に生きた多くの人生を通じて集められた膨大な知識は、隠されているものではありません。
脳だけを通して得られる記憶は、ぼんやりとしていて不確かです。ほとんどの人の人生の大部分は空白であり、今日意識していることも、明日には失われてしまいます。魂の永遠の記憶には、果てしない進化の膨大な蓄積が蓄えられています。そして、あなたがたは、優れた発達により、まだ生まれておらず、未処理の自己をこの記憶の中で意識するようになりました。しかし、精神を制御しなければ、この絶え間なく押し寄せる波に洗い流されて、忘却の彼方に消えてしまうでしょう。これが、訓練されていない精神の危険性です。精神を制御できない者は、思考を制御できません。脳内のこの恐ろしい奔流を解き放てば、すぐに屈して狂人となるでしょう。準備もなしにオカルトに手を出す者は、恐ろしい炎と精神を破壊する力と戯れているようなものです。さて、精神を制御した今、過去を振り返って読み取ってみなさい」
彼がそう言うと、イオールの過去生に関する言葉の謎が説明された。セント・ジャーメインが注意深く見守る中、私の精神は過去へと戻っていった。私は再びベネディクト会の修道士となり、ポワティエの畑で働いていた。そして、その人生のすべてが思い出された。
「後悔の念に心を乱されるな」とセント・ジャーメインが警告しました。
私は再びピレネーの修道院にいる自分自身を見ました。「過去は思い出すことができない。戻れ」
そして、彼の言葉の魔法によって、私は再び美しいアッティカのクレオメデスになりました。
「感情に心を乱されないように」とガイドが警告し、私は再び後ろに進みました。そして、テーベの広間でエジプトの巫女に、さらに別の時代に遡り、今度はナイル川のほとりの国でやはり巫女に。「進め」とガイドが命じました。そして、今度は古代アーリアヴァルタのバラモン女性、次にバラモン僧、そしてクシャトリア、そして北大西洋に広がるあの偉大な国の浅黒い顔の市民になりました。「戻れ」とセントジャーメインが言いました。そして、私は再び列柱のある中庭に戻りました。
「今、精神を黄色いチャクラに集中し、読み、見よ。地球上のどこへでも行け」
アデプトがそう言うや否や、私の視界は場所の質を無視したように見え、私はニューオーリンズの小さなコテージの部屋で安らかに眠る姿を見ていました。
それは私自身です。いや、かつての私の神殿です。今は姉妹が管理しています。「急げ!」と私のガイドが命じました。そして、場所から場所へ、大陸から大陸へ、不可能な場所や人里離れた場所へさえも私は飛びました。世界はすべて私の視界に開かれています。
「汝の意志は十分な強さを持っていない。宇宙の深淵を越えることはできない。その神秘を知るためには、汝はもっと高いところまで行かなければならない。世界の存在から、そしてその小さな世界である汝自身から学ばない限り、その神秘を知ることはできない。戻れ!」
再び私は中庭で意識を取り戻しました。
「兄弟よ」とセント・ジャーメインは言いました。「あなたは人生の神秘のほんの一部を見ただけです。」
盲目的で欺かれた世界について考えを巡らせながら、私は叫びました。「人生の素晴らしさと、その本質の高潔さを人々が理解できたら!」
「すべては時が来れば実現する」とセント・ジャーメインは答えました。
「しかし、その時がどれほど遠く、進歩がどれほど遅いことか」と私は答えました。
「そうです。しかし、少しずつ、一人ずつ、私たちは彼らを偉大なる同胞団に集めています」
「しかし、私たちが獲得する数少ない魂に対して、どれだけの新しい魂がやって来るのでしょうか」と私は言いました。
「現在の宇宙における魂の数は決まっています。新しい魂はやって来ません。私たちの前の宇宙からの輪廻の流れは止まっています。今後、私たちが受け入れる兄弟は、すべて純粋な利益です。魂が新しい肉体のために創造されるなどとは、一瞬たりとも考えてはなりません。肉体が魂の原因となることはできません。低いものが高いものを引き起こすことはできません。一時的なものが永遠を引き起こすことはできますか?肉体がスピリットを引き起こすことはできますか?いいえ、スピリットは欲望として歪められ、肉体の形成を促します。もし神が肉体ごとに魂を創造しなければならないのであれば、神は人間の欲望や気まぐれに従属する存在となり、肉体に魂を与える従属的な創造主となってしまいます。しかし、実際にはその逆であり、魂のために肉体が創造されるのです。もし魂が肉体のために創造され、肉体が魂を存在させる原因であるならば、肉体の死とともに魂も消滅することになります。しかし、実際にはその逆であり、肉体から魂が離れた後に肉体が創造されるのです。」
「しかし、」と私は尋ねました。「精神や魂が、いくつかの肉体を作り出すような卑しい欲望に駆られた行為を促すことはあるのでしょうか?」
「純粋な精神は違います。純粋な魂も違います。しかし、欲望に歪められ、魂を失ったスピリットは違います。前世で自らを地獄に落とした人々は、新しい形を求め続け、これらの悪徳の怪物のような行為を促していることを忘れてはなりません。これらの失われた魂が働く人々は不幸です。なぜなら、彼らは同じような性質を持つ人々だけを求めているからです。」
「しかし、兄弟よ」と彼は話題を変えて言いました。「あなたの7年間の試練の期間は終わり、『第三の位階』のイニシエーションを受ける特権が与えられました。今、下位の位階と同様に、ここでも2つの道があります。どちらを選ぶか決める必要があります。」
「イオールは選んだのですか?」と私は尋ねました。
「彼女は選び、通過しました」と彼は答えました。
「それでは、私も彼女の仲間として同じ道を選びたいと思います。」
「誰もこのように選ぶことはできません。私が述べた道から選ばなければなりません。一つ目は、肉体が自然に崩壊する時が来るまで、この世で働き続けることです。二つ目は、トランス状態での埋葬と、自己意識のあるアストラル体での継続的な生活です。どちらを選びますか?」
彼はそこで一呼吸置き、私は一瞬ためらいましたが、自然な時期が来る前に肉体から解放されたいと望むのは利己的だと考え、私は答えました。
「私は最初の道を選び、この世で働き続けます。」
コメント